Cantina BES カンティーナ・ベス
陽気さと冷静さのナイスバランス!
2024年より Albyが日本において輸入・販売を行っております。
概要
イタリア北部、ピエモンテ州モンフェッラート地区の小高い丘の上、周囲の広大な美しい丘陵を見晴らす素晴らしいロケーションに彼らの畑はあります。
当主のダニエーレは、元々自動車関係の営業職として働いていましたが、2017年に一念発起して念願だったワイナリーを地元のモンフェッラートで開業。私たちが訪問した時には、挨拶もそこそこにワイングラスを人数分渡され「まずは飲んでみろよ」と言わんばかりに自分の作ったワインを飲ませてくれるのでした。
ワイナリー名「BES」の由来
"BES"は、"Bere e Sognare" の頭文字で、英語にすると "Drink and Dream" つまり「ワインを飲んで夢を見る」を意味します。ダニエーレは本当にワインを飲むのが好きで、私たちが訪問した際も午前中でありながら既にいい感じに出来上がっていました・・笑
美味しいワインを飲んで仲間と楽しく平和に過ごす、が彼のポリシーであり、その考えを体現したような素敵なネーミングだと感じました。
"BES" にはもう一つの意味が込められており、それは "Bisogni Educativi Speciali"。「教育上の特別なケアを必要とする」という意味で、彼の息子さんが特殊な遺伝子を持って生まれてきた事に由来します。10年ほど前にそのお子さんが生まれてから、ダニエーレの家族は彼を受け入れるために様々な面での忍耐が必要になるようになり、時間的な自由を手に入れるためにサラリーマンを辞めてワイナリーを始めたという側面もあるとのことです。「教育上の特別なケア」とは、そんな彼の息子の事を指していますが、同時に彼らが愛するナチュラルワインにおける葡萄栽培や醸造においても似ている面があると感じているそうです。「手が掛かる子ほど可愛い」というのは、人間もワインも同じなのかもしれません。
畑について
畑は、モンフェッラートの丘を見渡す非常に美しい景観がまずは魅力的です。このエリアは古来海だった場所で、事実として彼らの畑の土壌を顕微鏡で分析するとプランクトンの死骸やウニのとげ、サメやクジラの骨の破片なども観察されます。この豊富なミネラル分により、彼のワインには後味に感じるしっかりとしたミネラル感が特徴として感じられます。豊かな香りと果実味のふくよかな印象がありながらも、最後に感じる少し冷涼な質感が「陽気な情熱と冷静さのバランス」というダニエーレの雰囲気を表しているかのようです。
彼らの畑は全体で9.5ha あり、6つの畑に分かれています。バルベーラ、グリニョリーノ、フレイザ、そしてシラーを栽培しています。最近新たにネッビオーロと、さらに白ぶどうの古代品種バラトゥチャットも栽培しており、近いうちにこれらもワインとしてリリースされる予定です。
自分の子供達にモンフェッラートの綺麗な葡萄畑を美しいまま継承したい、との思いから、畑では一切の化学肥料や除草剤などを使用しません。 ラベルには敢えて表示がありませんが、EUのオーガニック認証も取得しています。
醸造について
ぶどうの果皮に自生する酵母による天然発酵で、総亜硫酸量も30mg~40mg/ℓ と非常に少ないです。
いわゆるナチュラルワインの教科書通りといった印象の醸造スタイルですが、彼のワインからは不快な香りや不安定な要素が (良い意味で) 全く感じられません。とにかく丁寧な畑仕事と徹底的な選果と醸造設備をクリーンに保つことが秘訣だと語っていました。
2017年にワイン造りを始めたというのが信じられないほど、ある意味でピエモンテらしい洗練されたエレガントなスタイルが彼のワインの特徴です。午前中から出来上がっているような陽気なダニエーレですが、彼のワイナリーには醸造学やぶどう栽培に関する書籍がたくさん・・・。一つ一つの本について、どんなところが勉強になったのかを熱心に説明してくれました。そんなところからも、彼が隠れた努力家でしっかりとした理論に裏付けされたワイン造りを行っているのだとすぐに理解しました。
改めて、ワインとは人間味あふれる飲み物だなぁ・・と実感。